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MM総研 出荷台数・金額とも増加に転じる 「2025年度上期国内PCサーバー出荷台数調査」
2025年12月18日

■出荷台数は前年度同期比2.6%増の15万7730台に

■出荷金額は同13.2%増の1449億円と再び増加傾向に

■パソコンのOS更新を契機にオフィスサーバーの入れ替えが始まる

概要

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、2025年度上期(2025年4~9月)の国内PCサーバー出荷台数を調査しその概要をまとめた。出荷台数は15万7730台(前年度同期比2.6%増)で、上期としては2019年度から6年ぶりに増加となった(データ1)。パソコンのOS(基本ソフト)更新に伴う入れ替えと併せてオフィス用途などオンプレミス向けのPCサーバー※1の入れ替えが進み始めた。出荷金額は1449億円で同13.2%増となった(データ2)。ファイルやプリント、ID管理用途など主に50万円以下のオフィス用途の低価格帯サーバーの出荷も増えたが、同時に企業のERP(統合基幹業務システム)向けのアプリケーションや、企業内に散在するデータを集約・統合し、利活用するためのデジタライゼーション用途など200万円を超える価格帯のサーバー投資も増え、出荷金額は台数以上の増加幅となった。

※オンプレミスサーバー・・・サーバー利用者が管理する施設内(社内のサーバールームやデータセンターなど)に設置、運用されているサーバーのこと


【データ1】2025年度上期 国内PCサーバー出荷台数実績と予測

詳細

オフィスサーバーの入れ替えが始まる

2025年度上期は出荷台数、出荷金額ともに増加した。グループウエア、ファイル、プリントサーバーなどオフィスに設置されていたサーバーの需要はクラウドに吸収され減少を続けていたが、ここにきて減少に歯止めがかかっている。2024年から続くクラウド価格の高騰とクラウド移行メリットが乏しい、またセキュリティの関係でクラウドに預けることが難しいと判断されるワークロードを引き続きオンプレミスサーバーで利用するという判断が増加している。一方で、企業財務会計や受発注情報などを処理する基幹システムは、企業自らがサーバーを所有してプライベートクラウドとして構築するなど、すみ分けが進んでいる。これらの高価格帯のサーバーも出荷台数を増やした。しかしサーバーを構成する仮想化ソフトウエアの価格改定により企業のサーバー入れ替え時の負担金額が増加したことは引き続き利用者の重荷となっている。基幹業務向け高価格帯サーバーの出荷増に伴い、2025年度上期の出荷単価は91.9万円と、前年度上期と比較し8.6万円の上昇となっている。

【データ2】2025年度上期国内PCサーバー出荷金額実績と予測

 

2025年度通期も台数、金額ともに増加、OS更新に伴う入れ替え需要が続く

2025年度下期の出荷台数は前年度同期比5%増の17万816台と予測する(データ1)。また下期出荷金額は同18%増の1672億円を見込む。2025年度通期出荷金額は3121億円(前年度比15.7%増)と予測する。サーバーOSでは2027年1月に「Windows Server 2016」のOSサポート終了が予定されており、オフィスサーバーを中心にOS更新に伴う入れ替え需要が続くとみられる。またクラウドやデータセンターだけでなく、オンプレミスでAIサーバーを保有する需要が少しずつ増加している。本統計には含まない大規模学習と推論をこなすハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)専用、AI用途に特化したサーバーだけでなく、企業などの個別AIニーズに対応し推論を中心とした用途に適した業務用AIサーバーの需要が企業に広がっている。クラウドで大規模AIモデルをコンパクト化し、推論と一部の事後学習に特化したモデルとして利用するローカルAIモデルだ。特にAIで活用するデータをクラウド上で扱いにくい防衛や警察、金融、社会インフラ、製造業などの研究開発分野、個人情報を含む情報を多く扱う医療分野などで有望視されており、オンプレミス型のローカルAIは今後のサーバー需要をけん引していく可能性がある。

【PCサーバーの定義】
・PCサーバーとは32bitベースの汎用CPUと汎用OSを組み合わせた企業向けサーバーを指す。従来は企業内システムでのファイル・プリンター共有など情報系システムを中心に活用されてきた。現在ではCPU性能と製品全般の堅牢性・信頼性の向上に伴い、独自OS・独自64bitCPUで構成するUNIXサーバーの牙城であったDBサーバーなどの基幹系システムにも浸透。金額ベースで全サーバー出荷金額の50%以上、台数ベースでは95%を占める。
・本統計にはメガクラウド事業者などがODM(相手先ブランドでの設計・製造)メーカーなどから調達する自社専用設計のPCサーバーを含んでいない。