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MM総研 「2025年度上期 国内パソコン出荷台数調査」2013年度以来、半期ベースで12年ぶりの過去最高に
2025年12月16日

■2025年度上期のパソコン出荷台数は前年度同期比60.7%増の965.5万台
■首位のNECレノボが全価格帯需要へ積極対応し、シェア3割に迫る
■GIGAスクール向けの影響で平均単価は11.4万円に下落。今後の値上げに懸念
■2025年度通期は前年度比29.9%増の1755.5万台で過去最高を更新する見通し

概要

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、2025年度上期(2025年4~9月)の国内パソコン出荷台数を調査し概要をまとめた。出荷台数は965.5万台(前年度同期比60.7%増)となり、半期ベースで2013年度下期の960.1万台を上回り、12年ぶりに過去最高の出荷台数を更新した(データ1.4)。米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「Windows 10」の2025年10月のサポート期間終了を前にした企業、個人の買い替え需要に加え、GIGAスクール端末の更新需要が重なり、大幅な増加となった。GIGAスクール端末では米GoogleのOSを搭載したパソコン「Chromebook」がシェアを伸ばし、タブレットからパソコンへの一部シフトがみられた。

メーカーシェアでは、首位NECレノボが29.3%と3割に迫った。単価の高い企業向けや個人向けだけでなく、低価格帯のGIGAスクール端末にも注力し、幅広い価格帯の需要に応えた。平均出荷単価は11.4万円と2024年度下期から9千円の低下。2025年度下期はOS更新需要が減少するものの、GIGAスクール需要は継続し、2025年度通期でも1995年の統計開始以降、過去最高の1755.5万台となる見通し。

 

【データ1】国内パソコン出荷台数シェア(2024年度上期/2025年度上期)

※詳細データはP2.補足データを参照

【補足データ】国内パソコン出荷台数シェア詳細(2024年度上期/2025年度上期)

詳細

個人向け出荷は26%増、年末年始商戦も価格上昇前の駆け込み需要が続く

個人向け出荷台数は210万台で、前年度同期比26%増となった。富士通クライアントコンピューティング(FCCL)、デルがそれぞれシェアを2.2ポイント、3.5ポイント伸ばした。学生やモバイル需要への対応に加え、Web販路を中心に低価格帯の買い替え需要もとらえた(データ2)。個人向けは、法人向けと比較してOSの更新需要への対応が遅めで、サポートが終了した10月以降も買い替えが続く傾向がある。足元でパソコンのパーツの価格が上昇しており、今後パソコン本体の価格にも影響が及ぶことも懸念され、その駆け込み需要が年末年始の商戦でも続くとみられる。

 

【データ2】個人向け出荷台数

 

法人向け出荷は74%増、OS更新需要とGIGAスクール端末更新が寄与

法人向け出荷台数は前年度同期比74%増の755.5万台となり、2025年10月のWindows 10サポート終了に伴うパソコン入れ替えが大きく進んだ(データ3)。2025年度上期はGIGAスクール端末が約200万台含まれており、出荷台数の増加に大きく寄与している。GIGAスクール需要は年度末に大型の更新が予定されており、下期の出荷台数に占めるGIGAスクール向けの比率はさらに高まる見通しだ。

 

【データ3】法人向け出荷台数

 

平均出荷単価は11.4万円

半期ごとの平均出荷単価は、2025年度上期で11.4万円と、これまでの上昇基調に一服感が見られた(データ4)。これは値下げではなく、5.5万円が1台当たりの予算となるGIGAスクール端末の増加による影響が大きい。この影響を除くと平均単価は上がり続けており、市場の働き方改革によるパソコンの高性能、高機能化要求が背景にある。

 

【データ4】パソコンの平均出荷単価の推移

2025年度通期は1755.5万台で過去最高、2026年は反動と値上げによる減速を懸念

2025年度下期はOSのサポート終了による買い替え需要は減少するものの、GIGAスクール端末の更新需要は続き、2025年度通期の出荷台数は前年度比29.9%増の1755.5万台と1995年の統計開始以来、過去最高となる見通しだ(データ5)。一方、大手グローバルメーカーの決算では、今後の価格見通しについて値上げが必要であるとのコメントが出始めている。GPU(画像処理半導体)向けのDRAM需要が急激に増加しており、パソコン、スマートフォン向けのメモリーやSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)の需給がひっ迫し、部品価格の上昇につながりかねないからだ。主要部品の値上げ状況や今後の値上げ見通しを踏まえると、特に2026年度はパソコン価格がさらに10%以上上昇するような展開となりそうだ。また生成AI(人工知能)活用により高価格帯のAIパソコン需要が拡大し、汎用パソコンであってもメモリー、SSD、また内蔵カメラやマイクの高性能化要求などが高まっている。AIの登場でクラウドの活用も一層盛んになり、インターネット経由での通信やパソコンとクラウドのハイブリッド処理が増えていることからセキュリティ対策への備えも一層求められる。

MM総研取締役研究部長の中村成希は、以下のように調査を総括している。「AIの登場でIT(情報技術)とパソコンの役割も変わりつつある。インターネット黎明期の1990年代は技術進化が早く、製品入れ替えの平均年数は現在の5年より2年も短い3年程度だった。AIも技術革新が続いており、低価格帯のパソコンは一気に陳腐化するリスクもある。自分に合わなければ中古市場での売却なども視野に、少しゆとりある性能のパソコンを検討する時期であろう。企業では、特に追加セキュリティ対策へのコストが増大しているが、サイバー攻撃を受けたアサヒビールの事例の通り、最新のゼロトラスト対策サービスを導入しても形だけでは何の役にも立たないことは明らかである。OSやファームウエアの更新対応など基本的対策がおろそかになると、甚大な被害をもたらす。当社の別調査では市場ではまだ1000万台前後の旧OSが企業・家庭で稼働している。これらを教訓にAI活用への備えと運用の見直し、セキュリティリスクのある製品の一掃を期待したい」。

 

【データ5】国内半期別パソコン出荷台数推移と予測

 

 

■MM総研について

株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀以上にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

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