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富士経済、「中国における小売店チェーンの現状と将来性 2011」を発表 2010年のチェーンストアの売上は前年比21%増の5兆1,097億元の見込み
2011年03月02日

 総合マーケティングビジネスの富士経済の中国現地法人である中聯富士経済咨詢有限公司は、高度経済成長が続く中国の小売チェーンの調査を実施。その結果を調査報告書「中国における小売店チェーンの現状と将来性 2011」にまとめた。

 この報告書では、量販店・CVSのエリア戦略に重点を置くとともに、新しいチャネル・業態の動向も把握することで中国における小売店チェーンの全貌を分析、将来を展望してる。調査結果の概要以下の通り。

     分 類         2009年     2010年見込    前年比
 チェーン方式店舗   4兆2,159億元  5兆1,097億元  121.2%
 非チェーン方式店舗  2兆8,041億元  3兆  303億元  108.1%
     合 計      7兆  200億元  8兆1,400億元  116.0%

 1級都市では有力企業がほぼ出揃い厳しい販売競争が続いていることから、各社は低コストで、且つ巨大な潜在需要を有する2、3級都市への参入を本格的に開始している。スーパー、百貨店等に代表される国内チェーン企業は、外資系の豊富な資金力による出店攻勢に対し、M&A、大規模総合ショッピングモール化、コミュニティ内ショッピングセンターの設立などを進めている。有力チェーンは、商品現地化の徹底、自社大規模物流配送センターの設立、サプライヤーとの提携強化など流通、販売面のさらなる整備、強化を図っている。

 現状で最も成長しているのはスーパーマーケット(GMS、SM)である。GMSは、出店地区、分布に偏り(特に外資系は1、2級都市に集中)があるが、今後はいかに3級以下の都市へ進出していくかがポイントとなる。ホームセンターは政府の不動産関連政策により今後も安定した伸びを示すと予測される。家電量販店チェーンは、「家電下郷(農村への家電の普及策)」や「以旧換新(下取り販売の奨励策)」により出店エリアの拡大が見込まれる。ドラッグストアチェーンは政府による医療改革により今後も成長が期待される。

     業 態         2009年     2010年見込    前年比
 スーパーマーケット   1兆  440億元  1兆2,230億元  117.1%
 コンビニエンスストア       340億元      370億元  108.8%
 百貨店             6,090億元    6,880億元  113.0%
 家電量販店          4,100億元    4,900億元  119.5%
 ドラッグストア         1,360億元    1,500億元  110.3%
 ホームセンター     1兆1,300億元  1兆6,000億元  141.6%
 その他チェーンストア    8,529億元     9,217億元  108.1%
 チェーン店合計     4兆2,159億元  5兆1,097億元  121.2%

◇スーパーマーケット
 2008年に発生した世界金融危機は中国経済にも製造業をメインとする輸出関連産業に多大な影響を及ぼし、国内経済、スーパーマーケット業界の成長鈍化が懸念された。しかし、中央政府の迅速な内需拡大策の実施により消費はさほど落ち込まず、スーパーマーケット業界は好調を持続している。有力チェーンは1級重点都市での出店をほぼ達成し、やや飽和状況にあるこれらの地区から、周辺の巨大な潜在消費需要を有する2、3級都市への出店や他チェーンの買収などによる参入を加速させている。外資企業は豊富な資金力を活かした新規出店、買収、資本提携などにより店舗増加、エリア拡大に注力し、順調に拡大している。国内企業は、既存店のリニューアルや株式上場及びライバル企業の吸収合併などにより規模を拡大している。

 スーパーマーケット業界は二ケタ成長を続けており、特に上海、広州地区などではGMSの売上が引き続き増加傾向にある。一方、都市近郊及び農村地区ではGMSが少なく、個人経営の小規模スーパーが主体であるが、1級都市での熾烈な販売競争から有力チェーンが潜在需要の大きい2、3級都市へと進出し始めており、品揃えや品質面で劣る小規模店の売上が減少してきている。

◇コンビニエンスストア
 各チェーンの店舗は上海を中心とした杭州、蘇州、南京などの華東地域と広州、深セン、東莞を中心とする華南地域に集中している。しかし、これらの市場はほぼ飽和状態となっており、全体の出店ペースはやや鈍化している。そのため、従来手薄であった環渤海地区の北京、大連や西部地区の成都など、そして2、3級都市への店舗展開に注力している。各チェーンは競争力強化及び来店者増を目的に、各種公共料金の代理収納、チケット予約サービス、DPE、クリーニング、コピー、各種カードでの支払い対応など多様なサービスを提供している。

 中国でCVSを展開している外資企業は主に日本、香港、台湾系である。日系チェーンは"セブン-イレブン"、"ローソン"、"ファミリーマート"、"ミニストップ"などで、主に上海、広州、北京を中心に周辺都市にも出店している。セブン-イレブンは、外資系CVSとしては進出が最も早く、2001年に広東省内でのチェーン展開を開始した。また2004年には北京地区へ進出、さらに2009年には上海地区に進出している。ローソンは1996年に上海地区に進出し、2010年末の総店舗数は330店に達したと見込まれる。ファミリーマートは2004年に上海、以降広州、蘇州地区にも進出し、2010年の総店舗数は377店(上海272店、広州63店、蘇州42店)に達したと見込まれる。ミニストップは、2009年に青島に進出し、2010年9月現在10店に達している。台湾系企業では2001年、に台湾潤泰集団が華東(江蘇、浙江等)及び華南(広東)地区をメインに店舗展開しており、2010年の総店舗数は600店に達したと見込まれる。香港企業では2002年、香港利亜零售集団が"OK便利店"を展開している。

◇百貨店
 百貨店は、都市、区内の中心商業地や歴史的な商業区に位置し、流行やファッションに敏感な流動的顧客をメインターゲットとしている。売場面積は6,000~20,000m2、主力商品は服飾、靴、バッグ、化粧品、日用品、子供用品等である。商品販売方式はカウンター販売と対面販売で商品ケースを見る方式と実際手に取れる方式を組み合わせている。

 中国経済の高成長に連れ百貨店業界も高成長を続けており、外資を含め多くの新規参入により、競争が一段と激化している。また、スーパーマーケット、ショッピングセンター、専門店などとの競合が強まっている。多くの外資が中国小売市場を有望視しており、外資系百貨店の進出が加速している。M&Aや増資などにより中国での百貨店業務の拡大を加速させており、現在ではこれまでの単一都市内の展開から他都市や他省にまたがるようになってきている。本土系百貨店は、外資系百貨店の経営モデルを中国風にアレンジし、情報化、取扱商品の品質向上、従来の百貨店のイメージの一新などの改革を推進している。

◇家電量販店
 家電の販売チャネルは、家電量販店チェーン、ブランド専売店、百貨店、GMS、専門電器店及びネット販売などに分けられる。1、2級都市は家電量販店チェーン店が、3、4級都市では専門電器店及び百貨店がメインとなっている。各都市にあるGMSも商品を扱ってはいるものの、補完的な品揃えで、種類や専門性には難がある。

 2006年から2008年にかけてM&Aなどにより、従来の国美、蘇寧、永楽、大中の4強から国美と蘇寧の2強時代へと変化している。2009年末時点における国美と蘇寧の店舗は、国内の3、4級以上の200余りの都市をカバーし、国美が726店、蘇寧が941店に達している。特に、蘇寧は積極的に店舗展開を行っており、2009年の売上が583億元となり国美電器を抜き業界ナンバーワンとなった。都市消費者の生活レベルの向上、そして「家電下郷」、「以旧換新」などによる農村市場の拡大などから家電量販店の売上は年率20%前後で増加している。

 外資系家電量販店チェーンは比較的少ない。世界最大の家電小売業の百思買(Best Buy)が2006年5月に江蘇五星電器有限公司の株式51%を取得し、「Best Buy」8店舗、「江蘇五星電器」260店超を展開している。ヤマダ電機は、2010年12月に瀋陽に海外第1号店をオープンした。ドイツのメトログループ(Metro Group)傘下の梅地亜家電公司(Media Market)は、2009年末に梅地亜家電スーパーマーケット(メトログループ持ち株75%)を設立している。

◇ドラッグストア
 1984年の「薬品管理法」、1990年代後半の政府関連機関による医薬品小売業界への厳格な管理システムの導入及び「医薬流通体制改革深化に関する指導意見」により、医薬品小売業界は従来の国有企業による独占状態から民間企業の参入、成長へと一大変貌を遂げた。

 2000年には、中国政府は医療制度改革を推進するため「処方薬及び非処方薬分類管理法」を公布し、一般消費者の医薬品購入を病院から医薬小売店へと転換させ、同時に省・市をまたがる医薬小売チェーン出店制限を撤廃したことから、多くの民間企業が市場に参入した。また2001年12月11日のWTO加入後3年以内に外資へ医薬市場を開放することが正式表明され、著名外資ドラックストアチェーン企業の国内市場参入が秒読み状況となった。
 2006年以降、有力ドラックストアチェーンは非医薬品の取り扱いを増やし始め、保健品(健康食品を含む)、化粧品、医療器具、日用品などを取り扱うようになった。また、巨大な潜在消費者層を抱え、成長が続くネットモールでの販売を開始する企業も現れた。中国政府は医療制度改革を継続し、特に農村医療の整備に注力していることから、ドラッグストアの売上は二ケタ成長を続けている。

◇ホームセンター
 2009年は世界金融危機の影響が懸念されたが、中央政府の大規模な内需拡大策により住宅の販売面積が史上最多を更新したため、ホームセンター業界も成長を維持し2009年の売上は前年から45%増加し1兆元を超えた。中国の経済成長に伴い住居用品の需要が増え、ホームセンターの出店エリアは従来の1級都市から2、3級都市へと拡大し、店舗数も急増している。また、店舗形態にも変化が見られ、高付加価値訴求の贅沢な家具・インテリアが中国においても徐々に歓迎されつつあり、多くの外資系高級ブランド家具企業が参入を開始している。国外の有名ホームセンターも中国への投資を増やしており、今後競争は一層激しくなる見込みである。


<調査対象>
 スーパーマーケット  22社  コンビニエンスストア  9社
 百貨店          5社  家電量販店       2社
 ドラッグストア      3社  ホームセンター     2社
 その他          4社

<調査方法>
 中聯富士経済咨詢有限公司の専門調査員による調査

<調査期間>
 2010年9月~11月