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キヤノンMJ ichikara Labがワカモノスタディレポートを公開
2025年05月09日

キヤノンマーケティングジャパン株式会社(代表取締役社長:足立正親、以下キヤノンMJ)の企業内起業ichikara Lab(イチカララボ)は、若年層マーケティング活動の一環として若者と未来につながるヒントを探る「ワカモノスタディ」を行っています。このたび現役大学生とともに若者の「界隈消費」をテーマにディスカッションした内容をまとめたレポートを公開しました。

 

「ワカモノスタディ」は、若者と恒常的に様々なテーマについて話し合いながら、変化のスピードの速い若者のトレンドや価値観、購買行動、ライフスタイルなどの裏側にある心理を探求し、若者に求められる商品やサービスをともに考える活動です。

 

今回は、大学生とともに若者の「界隈消費」をテーマにディスカッションしました。一般的に「界隈」とは、趣味嗜好にもとづく境界線が曖昧なコミュニティを指しています。界隈への帰属意識はしばしば消費行動と結びつくともいわれており、若者中心に発生している「界隈消費」という消費動向が注目されています。特にZ世代の消費傾向を語る上では外せない要素の一つともいわれており、BtoC領域のマーケティング活動においては、年齢や性別等の属性だけではない、趣味嗜好に基づく顧客の捉え方も改めて注目されています。今回のレポートでは、調査結果から見えてきた「界隈消費」の実態に加え、若者ならではの新しい購買行動モデル「ISEACP」も提唱します。

 

▼ichikara Labワカモノスタディreport13「若者の界隈消費とは?」:

https://corporate.jp.canon/profile/business/new-value-creation/ichikaralab/wakamonostudy/report13

 

 

〈「界隈消費」の実態調査〉

まずは「界隈消費」の実態を把握するために、学生に普段の生活や購買行動を振り返ってもらいながら「界隈消費」に関するエピソードを調査しました。一部エピソードを紹介します。

・大学生Aさん(古着界隈・映画界隈):

旅行で訪れたヴィンテージショップにて、好きな映画で着用されていたTシャツと同じデザインの服に遭遇した。いまを逃したら買えないと感じて、約6万円と高額だったが購入した。さらに、服を買ったことでその服に合う他の服や靴が欲しくなっていったことから、「界隈消費」は連鎖していると思う。

・大学生Bさん(編み物界隈):

インフルエンサーきっかけで界隈に興味を持つ人もいるが、自分の場合は屈強な男性が編み物をしている意外性に惹かれて編み物を始めた。界隈消費のきっかけは「憧れ」だけではないと思う。最近はリップクリームケースを制作したが、普段リップクリームは使わないので、ケースのためにリップクリームを後日購入した。

・大学生Cさん(ぽこぽこ界隈※1):

海外の画像・動画加工アプリを約4,000円/年で利用している。顔やスタイルをよく見せるためだけでなく、界隈特有の加工をするために界隈内の有名な人と同じアプリを使いたい。「界隈消費」は界隈ごとにお手本になる存在がいるので、安心して消費活動できる点がいい。失敗したくない!

上記のエピソードから、「界隈消費」と呼ばれる消費動向が若年層の間で発生していることが分かりました。「界隈消費」は「好き」や「憧れ」などの気持ちが伴う消費であり、自身が興味関心を示す対象への消費心理は前向きで、所属する「界隈」での購買行動に意欲的であることが分かりました。

 

※1.特定のBGMを使用して制作した動画をSNS上で発信している人のこと。何気ない日常の1シーンをおしゃれに編集・加工した動画が多く、トレンド性の高いアイテムも動画内で知ることができるため、若年女性層を中心に共感を得ている。

 

〈ichikara Lab提唱!若者の「界隈消費」における購買行動モデル〉

上記の実態調査をもとに、ichikara Labでは若者の「界隈消費」における購買行動モデルの分析も行いました。その結果「界隈消費」における購買行動が、Influence(影響・認知)→Search(情報収集)→Empathy(共感)→Action(購入)→Cherish(愛好)→Propagation(進展・伝播)の循環で成り立っていることを導き出し、購買行動の新たなモデル「ISEACP」を提唱します。

 

【ichikara Lab提唱モデル「ISEACP」

 

●Influence(影響・認知):SNSの投稿やレコメンド機能、周囲の口コミからの受動的認知を機に興味を持つ

・隙間時間に見るショート動画による認知が多い。詳細を調べる必要はあるが、知るきっかけとして効率的である。

・界隈から派生したレコメンド表示によって、最初は興味がなかったものも見ているうちに影響を受けて、興味を持つようになる。

 

●Search(情報収集):特に興味を持った商品・サービスについて能動的に情報収集をする

・身近な友人や界隈に詳しい知人の意見を聞くことで情報を集める

・インフルエンサーのフォローや検索・動画視聴など各種SNSで情報を「あさる」

・仲の良い友人だと同じ情報を持つ場合が多いので、新しい情報はSNSで検索する。信頼できる情報が少ないときは、界隈内の配信者の動画を見て参考にする

 

●Empathy(共感):自分なりの条件や気持ちにマッチするものか判断する

・周囲の意見やSNS投稿、公式情報を調べた後に自分なりの条件(求めるスペックやデザイン・サイズ感などの好み)と照らし合わせて選択肢を絞っていく

・入手した情報に自分をあてはめて、必要なものか気持ちにあうものかどうかを検討する

 

●Action(購入):さまざまな場所で購入できるものは、販売チャネルも比較・選定した上で購入する

 

●Cherish(愛好):共有だけでなく部屋に飾る・写真に撮る・愛用するなど自分なりの方法で購入品を愛でる

・単純な自慢や特典をもらうためにSNS投稿をすることもあるが、購入品の良さや自分の気持ちを理解してくれる界隈内で共有したい

 

●Propagation(進展・伝播):次の消費へと連鎖していく

・野球界隈の場合、観戦に行っているうちに野球ゲームが欲しくなったり筋トレをしたくなったり、界隈への連鎖を感じる

・1つ購入するには1つ手放すというマイルールがあるので、次の購入に向けて所有物を選別する

 

〈インサイト分析〉

ポイントは「共感」。気持ちが伴う消費=界隈消費?!

そもそも「界隈」という言葉自体が広義で使われていることや、今回のディスカッション参加者においては界隈への強い帰属意識がある人は少数派であったことから、若者の「界隈消費」の実態としては想像以上のあいまいさを感じる結果となりました。ただ若者にとっては、好きや悩みなど「共感」する気持ちを伴う消費や財布の紐が緩むものが、いわゆる「界隈消費」だということが分かりました。トレンドである「界隈消費」を活用した取り組みを検討したくなりますが、現時点での界隈消費の解釈の「あいまいさ」を考慮しつつ、本質的なニーズやインサイトをより突き詰めることが必要かもしれません。

 

若者の消費離れは、必ずしも当てはまらない?!

界隈消費=興味関心のある事柄への消費は前向きな心理状態であることが分かりました。ただし、いくら「財布OPEN」な状態で新しい出会いを待っているといえども、使えるお金はある程度限られてしまうという現実から、交際費との比較による優先順位づけなど学生らしい葛藤も発生していました。

その中でも晴れて購入に至ったものに関しては、今回のichikara Lab提唱購買行動モデルに沿って消費行動や心理が遷移していました。「若者が消費活動に消極的だ」と言われるようになって久しいですが、購入後に消費が連鎖していく傾向もあるため、若者の消費活動をもっとポジティブに捉えてもよいのではないでしょうか。

 

衝動買いもするけど、ベースは入念な情報収集や自分なりの条件

Z世代の傾向としては、好きや悩みといった気持ちによって共感できるものは財布の紐が緩みがちで、衝動買いやそれによる失敗談は多数ありました。その一方で、購入に至るまでには入念な情報収集や自分なりの条件による選定もしていました。「買い物で失敗したくない」と強く語る学生もいて、身近な友人だけでなくSNSを通して大量の情報を入手できる現代だからこそ、界隈で消費のお手本を見た上で安心して消費活動をしているのかもしれません。

 

〈まとめ〉

当初「界隈消費といえる消費活動はほとんどしていない」と回答した学生もいましたが、そういった学生であっても議論を進めるうちに、実は支出の多くを界隈消費が占めていたという気づきもありました。本人の意識にかかわらず、「界隈消費」が若者にとって身近なものであり、また定義があいまいであることがわかりました。

オトナ世代の若かりし頃と比較すると、現代はSNSの発展により受動的に得られる情報が圧倒的に多く、少しの興味であってもレコメンドによる出会いなどから興味関心ごとを発見しやすい環境となっています。また、使えるお金が限られてしまう葛藤を抱える若者にとって、低価格店舗など利用しやすい購買環境があることも、「界隈消費のゆるさ」が生じる背景の一つではないでしょうか。

注目を浴びつつある「界隈消費」は、若者にとっては好きや悩みなどの気持ちが伴う消費であり、自身が興味関心を示す対象への消費心理は前向きであることが分かりました。「界隈消費」は次の消費にも連鎖していることから、若者の消費活動をポジティブに捉えてもよいのではないでしょうか。

 

〈調査概要〉

実施日:2025年3月14日

テーマ:若者の界隈消費とは

形式:個別発表とグループディスカッション

開催場所:オンライン形式

参加者:大学生男女11名、ichikara Labメンバー6名

 

〈ichikara Labについて〉

ichikara Labは、若年層マーケティングの強化と新たな顧客層へのリーチをめざし 2020 年4 月に設立されたキヤノンMJ初の企業内起業です。若年層のライフスタイルや購買行動、トレンド分析のほか、若年層向け商品・サービスの企画開発に挑戦しています。

・ichikara Lab WEBページ:https://corporate.canon.jp/profile/business/new-value-creation/ichikaralab

・X(旧Twitter) アカウント:ichikara Lab/イチカララボ【公式】(@ichikaraLab)https://x.com/ichikaraLab

 

〈コラボレーションに関する案内〉

ichikara Lab では、以下のコラボレーション先を随時募集しています。ichikara Lab WEBページの下部、「CONTACT」よりお問い合わせください。

・ワカモノスタディをはじめとした、若年層マーケティングに参加いただける学校・ゼミ・学生さま

・これまでのプリントのカタチを超えて、ワクワクする未来をともに生み出していけるサービスや技術、アイデアをお持ちの企業さま

 

●ichikara Labオープンイノベーションページ:

https://corporate.jp.canon/profile/business/new-value-creation/ichikaralab/open-innovation

 

〈ミライアングル〉

キヤノンMJグループの「いま」と「未来」を、想いとともに伝えるメディア「ミライアングル」にてワカモノスタディの取り組みを紹介しています。

●ミライアングル「未来への種」ページ:

https://corporate.jp.canon/profile/business/mirai-angle/series/seeds/03