公益財団法人日本デザイン振興会(会長:内藤廣、東京都港区)は本日、2023年度のグッドデザイン大賞を老人デイサービスセンター 52間の縁側に決定・発表しました。
グッドデザイン大賞はグッドデザイン賞の最高賞に当たります。今の社会におけるデザインを象徴するとともに、これからの社会でデザインにできることを示すシンボルにふさわしい1点として、1,548点の本年度グッドデザイン賞受賞作の中から決定されました。
2023グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)老人デイサービスセンター 52間の縁側
受賞者:有限会社オールフォアワン+株式会社山健太郎デザインワークショップ
<デザインの概要>地域の人たちが気軽に立ち寄れる、縁側のような老人デイサービス。高齢者や子供、地域住民の誰にとっても居場所となり、困ったときに助け合える福祉の地域拠点である。
<デザインの評価ポイント>デイサービスという型にはまらない、地域でお互いに助け合える場がここでは実現されている。制度としてはデイサービスの施設として運営されているようだが、赤ちゃんからお年寄りまで誰でもウェルカムという状況が何より素晴らしい。おそらく地域社会に賛同してくれるサポーターがいて、助け合える体制ができているのであろう。お年寄りもいつもサポートされるだけでなく、子供を見守ったり、子供も大人の手伝いをしたりと、昔は当たり前にあったであろう風景が日常的に展開していることが感じられる。長い縁側と広い屋根下空間がそのコンセプトを見事に体現させ、実際の状況を誘発させている。 建築を作っている時から庭づくりのワークショップなどを行い、信頼される場づくりに努めてきたようだ。その着実なアプローチも含めて高く評価できる。
【グッドデザイン大賞受賞者のコメント】
さまざまな面で効率化や利便性が求めらている時代の中で、高齢者が人として尊厳を持って生きられるための場が必要と考えてこの施設を作りました。高齢者が幸せを感じられるのは、子どもたちやさまざまな世代の人との触れ合いがある日常ではないでしょうか。いまの社会から失われつつある、昔の暮らしに当たり前にみられた光景をこの場を通じて取り戻すことで、高齢者だけでなく誰もが幸せに生きられる社会を目指したいです。(石井 英寿/有限会社オールフォアワン 代表)