ホーム > オフマガ ニュース一覧 > ぺんてる創業者・元代表取締役会長の堀江幸夫氏が逝去 世界中の美術教育振興に寄与
ぺんてる創業者・元代表取締役会長の堀江幸夫氏が11月30日逝去した。99歳。社葬が12月16日午前11時から12時30分まで、台東区西浅草の東本願寺で執り行われる。
社団法人全日本文具協会の長谷川澄雄会長が葬儀委員長。施主は堀江圭馬ぺんてる社長。
堀江幸夫氏
■生年月日 明治44年10月1日生まれ(1911年)
■職歴:ぺんてる株式会社 元代表取締役社長 並びに 元代表取締役会長
■略歴
大正13年(1924年) 父の経営する筆、墨、すずり、色紙、短冊などの製造・卸業である「堀江文海堂」へ入社、父の厳格な薫陶を受けた。
昭和8年 「堀江文海堂」を父より継承。
昭和21年 会社組織に解消、大日本文具株式会社を設立と同時に代表取締役社長に就任。
昭和46年 ぺんてる株式会社に商号を変更と同時に代表取締役に就任。戦後、平和国家を国是として再建を志向する国の方針に沿って、次代を担う幼少年の情操教育を活発化させるための一助足るべく、当時の先進諸国よりも優れたクレヨン・えのぐの製造に成功、全国の小学校への配給量を充足させたことは、特筆に価する。このことが後年、輸出の拡大と外貨獲得への貢献につながった。
昭和59年5月 代表取締役会長に就任
平成14年6月 退任
■公職・団体歴
協同組合 東京文具共和会 会長
社団法人 東京文具工業連盟 会長
全国絵具・クレヨン工業協同組合 会長
日本マーキングペン工業会 会長
社団法人 日本軽工業品団体連合会 会長
日本文具検査協会 評議員
日本シャープペンシル工業会 監事
財団法人 日本科学技術連盟 理事
財団法人 美育文化協会 理事
東京商工会議所 企業経営委員会 委員
内閣総理大臣の任命による貿易会議専門委員
他多数
■受賞
昭和45年6月 輸出振興功労内閣総理大臣表彰 受賞
昭和46年11月 藍 綬 褒 章 受章
昭和58年11月 勲四等旭日小綬章 受章
■功績
昭和24年に通産省(現・経済産業省)より制定された「工業標準化法」に従い、工業技術院がJISマーク表示制度について絵具・クレヨン業界への説明会を開催した際、氏は、導入に消極的な業界を率先して説得、業界挙げての導入決定に尽力した。氏は早速、自社においても導入、文具業界の先導をきって画材・筆記具につきJISマーク表示工場の認可を得、さらに品質の改善、組織の近代化ならびに工程管理の改善につき工業標準化実施、優良工場として「東京通産局長賞」を受賞した。また、「工業技術院長賞」を受賞するなど、総合文具メーカーとしての地盤を確立した。
このようなJIS規格の導入後、さらに「品質管理(QC)」を積極的に導入して製品の品質向上に努力し、国内の需要に応えることはもとより貿易立国の国策に従い、先ず昭和二十八年にバンコックを皮切りとする東南アジア向けの「本格的な輸出」(主として画材)を開始した。
さらに、昭和35年には世界で初めての合成樹脂芯とノック式シャープペンシルおよび速乾性筆記具等の開発により、従来の輸出品目に筆記具を加え、引き続き昭和38年、世界初の「サインペン」の開発によって国内はもとよりアメリカを始めとする全世界より好評を得て輸出高が一挙に拡大した。
以上のような品質管理の強化により、「安かろう、悪かろう」の旧来の日本製品のイメージの払拭に努めると共に、更に高度の「全社的品質管理」(TQC)を導入、製品のみならず全社的な企業体質の改善とレベルアップに努め、国の施策に応える努力をした。この結果、企業としては昭和39年より連続8年間、通産大臣より「輸出貢献企業」の認定を受けるとともに、昭和45年には代表取締役社長の立場で輸出振興貢献者として認められ、「輸出振興功労内閣総理大臣表彰」を受けた。
戦後世界の筆記具の新製品の内、3分の2はぺんてるの新製品開発によるものである。
ぺんてるが世界で初めて開発した水性ボールペンの高級品としてのぺんてるローリングライターが、昭和54年6月に東京で開催された先進国首脳会議(東京サミット)において各国首脳の卓上の筆記具として外務省より採用される等、ぺんてるから生み出された筆記具の新製品は国内外で高い評価を得た。
さらに、昭和50年には、文具業界として初めて電子機器を開発して情報産業分野へ進出。次いで昭和51年に、その数年来全社を挙げて推進してきた「全社的品質管理」の成果として、厳格な審査を経て「デミング賞実施賞」を文具業界で初めて受賞した。
同年、氏は世界筆記具製造業者国際会議(於 米国)へ日本代表として出席した。また、(昭和25年に初めて来日以来、日本の品質管理を生み育てられた)デミング博士が昭和53年に氏の会社を訪問、工場視察を行った。
さらに、昭和56年には、業界に先駆けて産業用ロボットへ進出。自社独自の開発によるコンピューター自動制御の小型組み立てロボットは機能が優秀で、国内の販売はもとより欧米へも輸出した。
また、昭和57年には、業界に先駆けてバイオテクノロジー分野への進出を表明するなど、常に研究・開発に邁進している。
尚、絵画教育・情操教育の振興に対する貢献も著しく、(全国絵を描く運動の会)」や「幼年美術夏季大学」などへのバックアップを始め、財団法人美育文化協会による美術指導誌「美育文化」(月間)の刊行、「世界児童画展」開催への協力など、企業色を前面に出さずに推進して日本国内のみならず、世界中の美術教育振興に寄与した。
平成に入ってからも代表取締役会長に就任し社内での第一線は退いたものの、持ち前のバイタリティで文具業界のみならず、軽工業品業界全体の発展のために活躍する。日本初の文具国際見本市(現ISOT)開催を実現させた最大の功労者でもあり、その功績はメーカー・卸・小売の業界を問わず広く認めるところである。
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