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昭和レトロな街 東京・青梅市でユネスコ無形文化遺産の「本美濃紙」も扱う文房具店「間坂屋紙店」
2015年05月01日

 ㈱間坂屋紙店(東京都青梅市住江町60)は、明治15年創業、今年133周年を迎える。

同店の特長は、屋号にもある通り、“紙”。和紙などの紙を多数取扱う。平成26年ユネスコ無形文化遺産に登録された岐阜県の「本美濃紙」。島根県の西部、石見地方で製造される「石州和紙」。千代紙、民芸和紙、もみ紙、雲龍。結納品、のし袋など。昔は、敷地内の蔵にストックが隙間なく詰まっていたという。現在は、そのほかに文具・事務用品を販売。区役所や企業などにも納品を行っている。

なかでも売れ筋商品は、今、機能性が話題のシャープペンシル。最新商品やレトロな物まで揃う万年筆。近隣には、古い文房具をずっと愛用している人も多く、替え芯などメンテナンスも行っている。ほかにも、地域柄、お祭りのお祭り用花札紙(お祝いをもらった時にかけるもの)と麻皮(神様を祀る時に使う)など。

さらに店では、希少な昭和の文房具や種類豊富な毛筆(書初用の太筆、仮名用、写経用の小筆、画筆では、平筆、丸筆、面相筆、0号〜20号)を扱う。それらの商品をインターネットで調べた専門家やコレクターが遠方から足を運んでくることも多い。

青梅市は、人口が13万6395人(2015年2月1日現在)で、年々減少していると共に高齢化が進んでいる。そのため、店のあるJR青梅駅周辺は、昭和レトロを活性化のため打ち出している。街には、昭和のイメージした看板や青梅赤塚不二夫会館、昭和レトロ商品会館、昭和幻灯館を設置。地域の住民のほか、外からの観光客を取り込んで街を盛り上げている。

その反面、商店街の店は後継者問題で廃業する店も出ている。跡地には、マンションが建設され、一見すると住人が増えているようだが、昼間は都市に仕事にいってしまうという。そのため買い物は、仕事場近くや週末、大型店で済ませ、街での買い物は少ない。

担当者は、地域状況を踏まえた経営について語った。
「来店客は、高齢の方が多くなり、今まで通りに、幅広く文房具を販売していくか。もっとターゲットを絞り和紙など特長を活かし専門性を打ち出していくのか思案しています」と話す。

そのなか、顧客の裾野を拡げるため、おうめまちゼミ(得する街のゼミナール)に参加。これは、青梅市内の商店街の店が講師となり、 プロならではの専門的な知識や情報、コツを無料で伝えていく。少人数制のため、参加者との信頼関係が構築しやすくなるという。ゼミでは、和紙を利用し、お正月に向けてお年玉袋(ポチ袋)作りを実施した。
担当者は「参加された方に、大変喜んでいただきました。人に教えることは緊張しますが、いい勉強になります。なにより、お店を知っていただくきっかけになったと思います」と、感想を語った。

また、同店の顧客には、千代紙を購入に訪れる年輩のヘビーユーザーもいるという。その方は、杖をつきながら、店に行き趣味の爪楊枝袋作りに使用する紙を丁寧に選ぶのだと。和紙なので、一枚当たりの単価は、高いがそれを、まとめ買いしいく。出来上がった袋は、近隣の人にプレゼンし、みんなに笑顔で、「ありがとう」って言ってもらえるのが楽しみだと。喜ばれると、“また作ろう”という意欲になり、生きがいに繋がっているという。
担当者は、「うちのお店の和紙は、サイズや種類も豊富なので、遠方からも見に来て下さる。折り紙ひとつとっても、子どもが使う物と捉え、大人も楽しめることも知らない人が多い」
「今後も特長でもある紙を活かしながら、大人も子ども楽しめる提案を行っていきたい。地域の人たちとコミュニュケーションを取り、こんな文房具もあるということを知ってもらいこと。そのなかで、今以上にファンを増やしていきたい」と語った。

 

間坂屋紙店
間坂屋紙店
明星大学学生が描いた看板
明星大学学生が描いた看板
希少な昭和の鉛筆
希少な昭和の鉛筆
種類豊富な毛筆
種類豊富な毛筆
お祭り用花札紙など
お祭り用花札紙など
和紙
和紙
購入した和紙で作った爪楊枝袋
購入した和紙で作った爪楊枝袋